Mermaid.jsとChart.jsを比較して学ぶ(第二回:実データを使って学ぶChart.js)
2024/07/18 API ChartJS Javascript JSFiddle 比較シリーズ
はじめに
C#とPythonについての比較シリーズ第一弾に続き、比較シリーズ第二弾では、htmlへの図形描画に役立つmermaid.jsとchart.jsの比較を題材にし、前回の第一回記事ではmermaid.jsをUML図とともに学びました。今回は、グラフを描く際に有用であるchart.jsについて扱いたいと思います。
まずmermaid.jsとchart.jsについての概要を再掲したのち、chart.jsのさまざまなグラフの描き方を、気象庁の天気予報のデータを用いて、学んでいきたいと思います。
mermaid.jsとは(再掲)
Mermaid.jsは、図やグラフをテキスト記述から生成するためのJavaScriptライブラリです。Mermaid記法はマークダウン風のスクリプト言語で、開発者やドキュメンテーション作成者がコードブロック内でシーケンス図、フローチャート、ガントチャート、クラス図などを作成できます。
Mermaid記法の基本
Mermaid記法は直感的でシンプルな図がすぐに作成できます。例えば、以下のようなフローチャートをMermaid記法で表現できます:
graph LR
Start --> GetMoney --> GoShopping
GoShopping --> LetMeThink
LetMeThink --> |Laptop| BuyALaptop
LetMeThink --> |iPhone| BuyAnIPhone
LetMeThink --> |Car| BuyACar
Mermaid記法のユースケース
Mermaid記法は以下のような場面で便利です:
- 複雑な情報の視覚化: フローチャートやシーケンス図などを使用して、複雑なプロセスやシステムの理解を助けます。
- コード内での図の作成: マークダウンファイルやソースコードのコメント内に直接図を描けます。
- 迅速なビジュアル化が必要なとき: 学習曲線が低く、シンプルな図は素早く作成できます。
Mermaid記法の便利な使い方
Mermaid記法を活用して次のようなことができます:
- プロジェクトのフローを視覚化: タスクの流れをフローチャートとして描き、全体像を把握しやすくします。
- コードの挙動の説明: ソースコードのコメントにMermaid記法を使って図を描くことで、コードの挙動を視覚的に説明できます。
- ドキュメンテーションの作成: テキストベースのドキュメンテーションに直接図を描き込み、読者の理解を深めます。
Mermaid.jsの利用方法
Mermaid.jsはオープンソースで、CDNを介して手軽に利用できます。以下のHTML例では、Mermaid.jsを読み込み、Mermaid記法でフローチャートを描画しています:
<script src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/mermaid@10.5.0/dist/mermaid.min.js"></script>
<pre class="mermaid">
graph LR
Start --> Something --> End
</pre>
これにより、テキストベースで図を描画することができます。Mermaid.jsは多くのサービスでサポートされ、GitHubやZenn、esa.io、Notionなどで広く採用されています。
mermaid記法の詳細は以下の公式ページやチートシートなどを参考にしてください。
Chart.jsとは(再掲)
Chart.jsは無料のJavaScriptライブラリで、HTMLベースのグラフを作成するのに利用されます。これは最も単純な視覚化ライブラリの1つであり、散布図、折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ、ドーナツチャート、バブルチャート、面グラフ、レーダーチャート、混合チャートなど、様々な組み込みグラフタイプが含まれています。
Chart.jsの使用方法
-
CDNの追加:
ライブラリを利用するために、提供されているCDNへのリンクをHTMLに追加します。
<script src="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/Chart.js/2.9.4/Chart.js"></script>
HTML -
<canvas>の追加:
グラフを描画するために、HTML内の適切な場所に
<canvas>
要素を追加します。各<canvas>
要素には一意のIDが必要です。<canvas id="myChart" style="width:100%;max-width:700px"></canvas>
HTML
Chart.jsの特徴
-
グラフの種類: Chart.jsは線グラフ、棒グラフ、レーダーチャート、鶏頭図、円グラフ、ドーナツチャート、バブルチャート、散布図など多彩なグラフを作成できます。
-
カスタマイズ可能性: 開発者はデフォルトの設定以外にも、チャートの表示形式、軸の設定、色やスタイル、アニメーションなどのプロパティを調整し、独自のビジュアル表現を作り出すことができます。
-
柔軟性: チャートの作成において柔軟性が重要です。Chart.jsは開発者が自身の目的や要件に合わせて、様々なカスタマイズを行えるため、多様なプロジェクトに適用可能です。
ライセンスと注意事項
Chart.jsはMITライセンスの下で提供されており、再配布が自由です。ただし商標利用についてはMITライセンスでは規定されておらず、商標ポリシーに従う必要があります。バージョンごとにプロパティの位置やプロパティ名が異なるので、注意が必要です。
使用例
気象庁のAPIについて
気象庁は、日本の気象情報を提供する機関として広く知られています。2021年2月のホームページのリニューアルにより、気象情報の表示が大幅に見直され、より使いやすくなりました。これに伴い、気象庁のウェブサイト上で提供されている情報を取得するための非公式APIが利用可能となりました。
データの利用条件
気象庁の提供するデータは、政府標準利用規約に準拠して利用可能です。これは、一般的な公共データの利用条件と同様に、データの使用に関する一定の規則や制約があることを意味します。
注意点とリスク
気象庁の非公式APIは、公式にリリースされたAPIではないため、突然の仕様変更やデータ提供の中断などのリスクがあります。また、利用規約に違反した場合には、データの取得が制限される可能性もありますので、注意が必要です。
以上のように、気象庁の非公式APIを利用する際には、利用条件やリスクを十分に理解し、適切に対処する必要があります。
気象庁のAPIの使い方
気象庁のAPIを使用する際には、以下のURLを利用します。
- 天気予報の概要を取得する:
https://www.jma.go.jp/bosai/forecast/data/overview_forecast/{{エリアコード}}.json
- 天気予報の詳細を取得する:
https://www.jma.go.jp/bosai/forecast/data/forecast/{{エリアコード}}.json
エリアコード一覧
府県予報区 | コード |
---|---|
北海道 | |
宗谷地方 | 011000 |
上川・留萌地方 | 012000 |
石狩・空知・後志地方 | 016000 |
網走・北見・紋別地方 | 013000 |
釧路・根室地方 | 014100 |
十勝地方 ※取得不可 | 014030 |
胆振・日高地方 | 015000 |
渡島・檜山地方 | 017000 |
東北 | |
青森県 | 020000 |
秋田県 | 050000 |
岩手県 | 030000 |
宮城県 | 040000 |
山形県 | 060000 |
福島県 | 070000 |
関東甲信 | |
茨城県 | 080000 |
栃木県 | 090000 |
群馬県 | 100000 |
埼玉県 | 110000 |
東京都 | 130000 |
千葉県 | 120000 |
神奈川県 | 140000 |
... | ... |
ちなみに、京都府は26000です。
JSONファイルの例
天気予報の概要
{
"publishingOffice": "気象庁",
"reportDatetime": "2024-02-11T16:38:00+09:00",
"targetArea": "東京都",
"headlineText": "",
"text": "(略)"
}
天気予報の詳細
[
{
"publishingOffice": "気象庁",
"reportDatetime": "2024-02-11T17:00:00+09:00",
"timeSeries": [
{
"timeDefines": ["2024-02-11T17:00:00+09:00", "2024-02-12T00:00:00+09:00", "2024-02-13T00:00:00+09:00"],
"areas": [
{
"area": {"name": "東京地方", "code": "130010"},
"weatherCodes": ["200", "211", "101"],
"weathers": ["くもり 所により 雨か雪 で 雷を伴う", "くもり 昼前 から 晴れ 所により 朝 まで 雪か雨 で 雷を伴う", "晴れ 時々 くもり"],
"winds": ["北の風", "北の風", "南西の風 後 やや強く"],
"waves": ["0.5メートル", "0.5メートル", "0.5メートル 後 1メートル"]
},
{
"area": {"name": "伊豆諸島北部", "code": "130020"},
"weatherCodes": ["200", "202", "101"],
"weathers": ["くもり 所により 雨 で 雷を伴う", "くもり 後 晴れ 明け方 一時 雨 所により 昼前 まで 雷 を伴う", "晴れ 時々 くもり"],
"winds": ["南の風 後 北東の風 やや強く", "西の風 やや強く 後 北の風 新島 では 西の風 強く", "南西の風 後 やや強く"],
"waves": ["2メートル ただし 新島 では 2.5メートル", "2メートル 後 1.5メートル ただし 新島 では 3メートル 後 2メートル", "1.5メートル 後 2メートル"]
},
// 他のエリアの情報も続く...
]
},
// 時間帯ごとの情報が続く...
]
},
// 他の日付の情報も続く...
]
以上のように、エリアコードを指定することで、天気予報に関する概要や詳細な情報を取得することができます。
具体例:
エリアコードの詳細などが記載されているサイト:
Playgroundの利用
Playgroundは、コードを実行し、その結果をリアルタイムで表示する環境です。読者は、この環境を使って自身のコードを書き、変更し、実験することができます。
1. 実際のコードを書きながら学習する
Playgroundを使うことで、実際のコードを書きながらchart.jsの機能や使い方を学ぶことができます。自分でコードを書くことで、抽象的な概念を具体的なコードに落とし込み、理解を深めることができます。
2. 値やパラメータを変更して効果を観察する
Playgroundでは、値やパラメータを自由に変更して、その効果をリアルタイムで観察することができます。例えば、グラフの種類や色、データの値などを変更して、どのような結果が得られるかを試すことができます。これにより、理論だけでなく実践的なスキルを身につけることができます。
3. エラーやバグを発見して修正する
実際にコードを書く過程で、エラーやバグが発生することがあります。Playgroundを使用することで、エラーやバグが発生した際にそれらを特定し、修正する方法を学ぶことができます。このプロセスは、実践的なプログラミングスキルの向上につながります。
4. 学習の成果を即時に確認する
Playgroundでは、コードを変更するたびにその結果を即座に確認することができます。この即時フィードバックにより、学習の成果をすぐに確認することができます。また、何度も試行錯誤することで、より深い理解を得ることができます。
5. プロジェクトに応用するスキルを身につける
Playgroundでの学習は、単なる理論や知識の獲得にとどまらず、実際のプロジェクトや開発に役立つスキルを身につけることにもつながります。実際の開発現場では、リアルタイムでコードを変更し、その結果を確認する能力が重要です。Playgroundを活用することで、これらのスキルを磨くことができます。
代表的なPlayground
-
CodePen: ソーシャルな開発環境で、ブラウザ上でコードを書き、その結果を見ることができます。HTML、CSS、JavaScriptなどのフロントエンド言語に焦点を当てており、コーディングを学ぶ人々に特に有用です。
-
JSFiddle: 2009年にMooShellとして始まり、2010年にJSFiddleとして一般公開されました。フロントエンド開発者向けのオンラインコードエディタで、MooToolsコミュニティ向けに開発されたプロジェクトから派生しました。登録不要で無料で利用でき、リアルタイムでコードの変更を行いながら結果を確認できます。
-
JS Bin: オープンソースのコラボレーティブなWeb開発デバッグツールで、Brighton、Englandで開発されました。リアルタイムでコードを保存し、フルプレビューをリアルタイムでレンダリングすることができます。また、他の人々のJavaScript、HTML、CSSのデバッグを手助けするためにURLを共有し、編集することも可能です。
-
CodeSandbox: 2017年にIves van HoorneとBas Buursmaによって設立されました。コーディングの複雑さを排除し、誰もが簡単かつ迅速にコードを書けるようにすることを目指しています。プロトタイプからフルスタックのWebアプリまで、あらゆることを簡単かつ迅速にコーディングすることができます。
本記事でのPlaygroundの選択
本記事では、登録不要で無料で利用できるJSFiddleを使用します。JSFiddleは使いやすく、リアルタイムでコードを変更し、その結果を見ることができるため、読者が簡単に実験を行うことができます。
APIからのデータ取得方法
API(Application Programming Interface)からデータを取得するには、JavaScriptでfetchメソッドを使用します。fetchメソッドは、Web APIを使用してネットワークリクエストを行い、サーバーからリソースを取得します。また、fetchメソッドは非同期処理であるため、Promiseを返します。そのため、async/await構文を使用して非同期処理を扱うことができます。
非同期処理とは
非同期処理は、コードが順次実行されるわけではなく、結果が得られるまで待たずに次の処理を進める方法です。主にネットワークリクエストやファイルの読み書き、タイマーイベントなど、待ち時間のある処理に使用されます。JavaScriptでは、非同期処理を扱うためにPromiseやasync/awaitなどの機能が提供されています。
Promise
Promiseは、非同期操作の完了または失敗を表すJavaScriptのオブジェクトです。Promiseは3つの状態を持ちます。
- Pending(保留中): 非同期操作が実行されている状態。
- Fulfilled(解決済み): 非同期操作が成功した状態。結果が利用可能。
- Rejected(拒否済み): 非同期操作が失敗した状態。エラーが発生した場合に利用される。
Promiseは次のように使用されます。
const promise = new Promise((resolve, reject) => {
// 非同期処理を行う
if (/* 処理成功 */) {
resolve('成功した結果');
} else {
reject('エラーメッセージ');
}
});
promise.then(result => {
// 解決済み(成功)の場合の処理
console.log(result);
}).catch(error => {
// 拒否済み(失敗)の場合の処理
console.error(error);
});
async/await
async/awaitは、非同期処理をより直感的に書けるようにする構文です。async関数はPromiseを返し、await演算子はPromiseが解決されるまで処理を停止し、結果を返します。
async function fetchData() {
try {
const response = await fetch('APIのURL');
const data = await response.json();
console.log(data);
} catch (error) {
console.error('Fetch error:', error);
}
}
fetchData();
async/awaitを使うことで、非同期処理を直感的に記述でき、コードの可読性と保守性を向上させることができます。
非同期処理を理解し、適切に扱うことで、Webアプリケーションでのネットワークリクエストや時間のかかる処理などを効率的に行うことができます。
1. fetchメソッドの基本的な使い方
fetchメソッドは、以下のように使用します。
fetch('APIのURL')
.then(response => {
// レスポンスの処理
return response.json(); // JSONデータを取得する場合
})
.then(data => {
// データの処理
console.log(data);
})
.catch(error => {
// エラーの処理
console.error('Fetch error:', error);
});
2. async/awaitを使ったfetchの非同期処理
async/await構文を使用すると、非同期処理を同期的なコードのように書くことができます。
async function fetchData() {
try {
const response = await fetch('APIのURL');
const data = await response.json();
console.log(data);
} catch (error) {
console.error('Fetch error:', error);
}
}
fetchData();
3. fetchメソッドのパラメータ
fetchメソッドは、第二引数にオプションを指定することができます。代表的なオプションには、HTTPリクエストのメソッド(GET、POSTなど)やリクエストヘッダーの情報などがあります。
fetch('APIのURL', {
method: 'POST', // HTTPリクエストのメソッド
headers: {
'Content-Type': 'application/json', // リクエストヘッダーの指定
},
body: JSON.stringify(data), // リクエストボディのデータ(POSTリクエストの場合)
})
4. 注意点
- fetchメソッドは、クロスオリジンリクエストに対してCORS(Cross-Origin Resource Sharing)ポリシーを適用します。そのため、異なるオリジンからのリクエストを行う場合は、サーバー側でCORS設定を行う必要があります。
- fetchメソッドは、Promiseを返します。そのため、thenやcatchを使用して非同期処理の結果を処理する必要があります。
APIからデータを取得する際には、fetchメソッドを適切に使用し、async/await構文を活用することで、効率的かつスムーズに非同期処理を行うことができます。
折れ線グラフ
折れ線グラフとは
折れ線グラフは、データを点でプロットし、それらの点を直線で結んだグラフです。通常、時間や連続するカテゴリーに沿ってデータをプロットし、データの変化を視覚化するのに適しています。最も一般的な使用例は、時間に沿ったデータのトレンドや変化を表示することです。
コードの説明
-
formatWeather関数:
- APIから取得した天気データを整形し、日付と最低気温、最高気温の配列に変換します。
-
chartMaker関数:
- Chart.jsを使用して折れ
線グラフを描画します。
- グラフの設定やデータは、formatWeather関数で整形されたものを使用します。
- API実行から描画まで:
- fetchを使用して気象庁のAPIから天気データを取得します。
- 取得したデータはJSON形式で返され、それをresponse.json()でパースします。
- パースされたデータはformatWeather関数で整形され、その結果がchartMaker関数に渡されてグラフが描画されます。
このコードは、折れ線グラフを描画するために気象庁のAPIから取得した天気データを使用しています。取得したデータを整形し、Chart.jsを使用してグラフを描画することで、最低気温と最高気温の一週間のトレンドを視覚化しています。
棒グラフ
棒グラフとは
棒グラフは、データを棒状のバーで表現するグラフです。各バーの高さや長さがデータの値を示し、比較や分布を視覚化するのに適しています。カテゴリーごとの頻度や数量など、離散的なデータを表すのによく使われます。
コードの説明
-
getData関数:
- 各地域の天気データを取得するための非同期関数です。指定された地域コードを使用して、気象庁のAPIからデータを取得します。
-
formatWeather関数:
- 取得した天気データから各地域の降水確率を取得し、棒グラフで表示するためのデータを整形します。
-
chartMaker関数:
- Chart.jsを使用して棒グラフを描画します。
- 各地域の降水確率が棒の高さとして表示されます。
-
fn関数:
- 各地域の天気データを取得し、描画するための関数を実行します。
- 地域名と地域コードを配列として取得し、getData関数で天気データを取得し、formatWeather関数で整形します。
- 最終的にchartMaker関数で棒グラフを描画します。
鶏頭図
鶏頭図とは
鶏頭図は、放射状に数値軸を配置し、各項目の数量の値に比例した半径を持つ扇形で表現されるグラフです。各項目が放射状に配置された軸に沿って、その値に応じた長さの線分が描かれます。これにより、複数の項目の値を一度に比較することができます。
鶏頭図の歴史
鶏頭図は、ナイチンゲールがクリミア戦争における英国兵の死因を、ビクトリア女王にわかりやすく説明するために考案されたと言われています。しかし、実際にはナイチンゲール以前にも同様の図が使用されていた例があります。たとえば、1829年には André-Michel Guerry が周期的現象の頻度を鶏頭図で表した論文を発表しています。また、1843年には Léon Lalanne が風向の頻度を鶏頭図で表現しました。
コードの説明
このコードは、気象庁のAPIから各地域の降水確率データを取得し、それを鶏頭図として描画します。今回は、棒グラフのデータを鶏頭図のデータとして流用しています。各地域の降水確率が放射状に配置された軸に沿って表現され、扇形の面積が降水確率を表します。
円グラフ
円グラフとは
円グラフは、円形の領域を使ってカテゴリごとの相対的な割合を視覚的に表示するグラフです。円の中心から放射状に伸びた扇形が、各カテゴリを表し、それぞれの領域の角度がそのカテゴリの割合を示します。通常、カテゴリごとの割合がパーセンテージで示され、円全体が100%になります。
鶏頭図と円グラフの違い
鶏頭図と円グラフは、どちらもカテゴリごとの相対的な割合を示すグラフですが、形状や表現方法に違いがあります。鶏頭図は放射状の軸に沿ってカテゴリが配置され、各カテゴリの割合が扇形の面積で表されます。一方、円グラフは円形の領域を使い、各カテゴリの割合が扇形の中心角で表されます。円グラフはカテゴリの割合を比較するのに適していますが、扇形が小さくなると正確な比較が難しくなる場合があります。
コードの説明
このコードは、気象庁のAPIから各地域の天気予報データを取得し、そのデータをもとに円グラフを描画します。各地域の1週間の天気予報から、晴れ、曇り、雨、雪の割合を計算し、それぞれの割合を円グラフで表現しています。formatWeather関数は、各地域の天気予報データから晴れ、曇り、雨、雪の各天気の回数を計算します。この関数は、与えられた天気データの中から天気コードを解析し、各天気の回数を集計します。天気コードに基づいて、今回はラフに100番台は晴れ、200番台は曇り、300番台は雨、それ以上は雪としてカウントされます。最終的に、各天気の回数が入ったオブジェクトが返されます。
ドーナツグラフ
ドーナツグラフの説明
ドーナツグラフは円グラフの一種であり、円状の中央に穴が開いている特徴があります。円グラフと同様に、カテゴリごとの相対的な割合を視覚的に示すことができますが、中央の穴があることで追加の情報を表示することができます。
ドーナツグラフは通常、円グラフよりも視覚的に魅力的で、中央の穴を使用して補足情報を表示することができるため、より複雑なデータセットを表現するのに適しています。例えば、複数のカテゴリの比較や、各カテゴリの全体に対する割合だけでなく、サブカテゴリの間の相対的な割合も示すことができます。
ドーナツグラフと円グラフの使い分け
ドーナツグラフと円グラフは、データの視覚化に使用される際に異なる目的を持っています。
円グラフは、主に各部分が全体に占める割合を示す場合に使用されます。カテゴリの相対的な比較や、それぞれのカテゴリが全体に占める割合を簡単に理解したい場合に適しています。
一方、ドーナツグラフは円グラフよりも視覚的に魅力的であり、さらに多くの情報を表現することができます。特に、円グラフではカテゴリの割合しか示せないのに対し、ドーナツグラフでは中央の穴を使用して追加の情報を表示することができます。複数のカテゴリの比較や、サブカテゴリの間の相対的な割合を示したい場合には、ドーナツグラフがより適しています。
ドーナツグラフのデータ流用について
今回の例では、円グラフのデータをそのままドーナツグラフに流用しています。これは、円グラフで表現されるデータが既にカテゴリごとの相対的な割合を示しているため、追加の情報を中央の穴を介して表示することで、より詳細な情報を提供することができるからです。円グラフの各セクションが全体に占める割合を示すのに対し、ドーナツグラフでは中央の穴を通じて補足情報を表示することができます。
レーダーチャート
レーダーチャートの説明
レーダーチャートは、複数の変数を比較するためのグラフであり、複数の軸を放射状に配置した図形で表現されます。各変数は軸から放射状に線で結ばれ、その形状や面積からデータの特性や傾向を把握することができます。
レーダーチャートは主に、複数の項目や変数の相対的なパフォーマンスや特性を比較する際に使用されます。例えば、製品の特性、アスリートのスキル、プロジェクトの進捗状況などを可視化するのに適しています。各項目の値の範囲や重要性が異なる場合でも、レーダーチャートはそれらを比較するのに役立ちます。
レーダーチャートと円グラフの使い分け
レーダーチャートと円グラフは、データを視覚化する際に異なる目的で使用されます。
円グラフは通常、カテゴリごとの相対的な割合を示すのに使用されます。一方、レーダーチャートは複数の変数や項目の相対的なパフォーマンスや特性を比較するのに適しています。特に、テストの結果やアスリートのスキル、製品の特性など、複数の指標を比較する際にはレーダーチャートが有用です。
レーダーチャートの注意点
レーダーチャートを使用する際の注意点として、各項目で単位や目盛りが揃っていないと、グラフが読みにくくなることがあります。各軸のスケールや重要性が異なる場合は、データを適切に比較するために調整する必要があります。
レーダーチャートのデータ流用について
今回の例では、円グラフのデータをそのままレーダーチャートに流用しています。これは、先に使用した円グラフで表現されているデータは、各項目ごとの回数になっているためです。
散布図
散布図の説明
散布図は、2つの変数の間の関係を示すためのグラフです。通常、縦軸に1つの変数の値、横軸に別の変数の値をプロットします。これにより、データの分布、パターン、および相関関係を視覚的に把握することができます。散布図は、相関の強さや方向を確認するのに役立ちます。
散布図では、プロットされたデータポイント同士を線でつなぐこともあります。これにより、データポイントのパターンや傾向をより明確に把握することができます。
線で繋いだ散布図と折れ線グラフの違い
線で繋いだ散布図は、各データポイントを直線で結んでグラフを作成します。これに対して、折れ線グラフは、通常、データポイントを直線で結ぶ代わりに、データポイント間を直線で結び、それらの間を直線で結んで、データの変化を示します。折れ線グラフは、時間や順序に沿ったデータの変化を示すのに適していますが、横軸の項目数が一致していない場合には使いづらい場合があります。一方、線で繋いだ散布図は、連続量のデータを比較するのに適しています。
このJSFiddleのコードでは、気象庁のAPIから天気予報のJSONデータを取得し、そのデータから散布図を描画します。
getData
関数は、指定された地域の天気予報データを取得します。formatWeather
関数は、取得した天気予報データを整形し、最低気温と最高気温、および最低気温と降水確率の関係を示すデータポイントの配列を作成します。chartMaker
関数は、散布図の設定を行い、2つのデータセットを含む散布図を描画します。データセットは、最低気温と最高気温の関係、および最低気温と降水確率の関係を表します。各データセットは、異なる色でプロットされ、それぞれのデータポイントはグラフ上に表示されます。
バブルチャート
バブルチャートの説明
バブルチャートは、3つの変数を視覚化するためのグラフであり、散布図の一種です。通常の散布図とは異なり、バブルチャートでは、データポイントが点ではなく円で表されます。各円の大きさ(半径)は、3つ目の変数を表し、通常は数値データに関連付けられます。バブルチャートは、データセット内のパターンや相関関係を比較するのに役立ちます。
バブルチャートと散布図の違い
バブルチャートと散布図の主な違いは、データポイントの表現方法です。散布図では、データポイントが単純な点で表されますが、バブルチャートでは、データポイントが円で表され、円の大きさが追加の情報を提供します。
バブルチャートと三次元の散布図の違い
バブルチャートと三次元の散布図は、どちらも3つの変数を視覚化するためのツールですが、表示方法が異なります。三次元の散布図では、3つの変数がx軸、y軸、z軸に割り当てられ、3次元の空間内にデータポイントが配置されます。一方、バブルチャートでは、x軸とy軸には2つの変数が割り当てられ、3つ目の変数が円の大きさで表されます。バブルチャートは、三次元の散布図よりも平面的な視覚化を提供し、データの比較やパターンの識別が容易です。
このJSFiddleのコードでは、気象庁のAPIから取得した天気予報データを使用してバブルチャートを描画します。
getData
関数は、指定された地域の天気予報データを取得し、formatWeather
関数は、取得したデータを整形してバブルチャートに適した形式にします。バブルチャートでは、各データポイントが最低気温、降水確率、および最高気温を表し、それぞれのデータポイントは異なる色の円で表示されます。各円の半径は最高気温に対応しています。降水確率は0%であることも多く、円が消えてしまうことも多いため、今回は最高気温を円の半径に選んでいます。- 最後に、
chartMaker
関数はバブルチャートの設定を行い、データセットを含むバブルチャートを描画します。
chart.jsで利用できる機能や他のグラフについて
1. 対数軸の利用
chart.jsでは、対数軸を使用してデータを視覚化することが可能です。対数軸を使用することで、データの桁数が大きく異なる場合や、指数関数的な変化を持つデータを効果的に表示できます。
2. 目盛りの反転
グラフの目盛りを反転することも可能です。これにより、データの値が逆順に表示され、グラフの見た目やデータの理解を向上させることができます。
3. 積み重ね棒チャートの利用
積み重ね棒チャートは、複数のデータセットを重ねて表示するグラフです。各データセットの値が積み重なり、合計値を示すことができます。普通の棒グラフとの違いは、複数のデータセットを重ねて表示する点にあります。これにより、各データセットの寄与度や相対的な比較が容易になります。
4. 複数軸の利用
chart.jsでは、複数の軸を使用して異なるデータセットを同じグラフ上に表示することができます。複数軸を使用することで、異なるスケールのデータを同時に比較することができます。例えば、気温と湿度などの異なる尺度のデータを同じグラフ上で視覚化する場合に役立ちます。
5. プラグインの利用
chart.jsでは、様々なプラグインを利用してグラフの機能を拡張することができます。プラグインを使用することで、カスタムレイアウトやアニメーション、インタラクティブな機能の追加などが可能になります。これにより、より豊富なビジュアライゼーションを実現できます。
6. 作成済みのチャートの更新
既存のチャートを更新することも可能です。データセットの追加や変更、オプションの調整などを行い、作成済みのチャートを更新することができます。これにより、動的なデータの変化に応じてチャートをリアルタイムで更新することができます。
まとめ
chart.jsは豊富な機能と柔軟性が特長であり、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、散布図、バブルチャートなど、多彩なグラフを描画することができます。第二回では、実データを用いた学習を通じて、chart.jsの使い方や機能を実践的に学習してきました。直感的なAPIと豊富なサンプルコードやドキュメントが学習を容易にし、データ可視化のニーズに幅広く対応できる点が魅力です。
比較シリーズ第二弾では、Mermaid.jsとChart.jsを比較しました。Mermaid.jsは主に図表やフローチャートを生成するツールであり、テキストベースの記述で図表を生成します。一方、Chart.jsはグラフの描画に特化し、JavaScriptを使用して動的でカスタマイズ可能なグラフを作成します。使用目的やスキルセットに応じて、Mermaid.jsとChart.jsを選択する基準が異なります。Mermaid.jsはドキュメントやマークダウン内での利用を重視し、静的な図表を生成するのに適しています。一方、Chart.jsは動的なグラフの作成やカスタマイズを必要とする場合に適しており、データの可視化により強力なサポートを提供します。これらの違いを理解し、適切なツールを選択することが重要です。それぞれの強みを活かして、効果的なデータ可視化を行うことができるでしょう。